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日記・一般  |札幌市東区

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2008年06月01日

 庵(いおり)あれこれ

 庵(いおり)あれこれ札幌の丸井今井本店大通館1階北西の入り口に、この場所が、 武林無想庵(たけばやしむそうあん)の生誕地と言う、表示板があった。

彼は、芥川龍之介や谷崎潤一郎から、博学の作家と称された人物だ。昭和8年に、緑内障で右目を失い、同18年63歳で両眼失明後、死ぬまでの19年間、3番目の奥さんが口述した「むそうあん物語」(全44冊)が有名だ。親友の子、山本夏彦が「無想庵物語」を書いている。また、武林無想庵は「なさざれば くわずというか あなかしこ 何をなしても 我はくらえる」の句を残している。

右目の視力喪失と言えば、瀬戸内寂聴が、昨年(平成19年)右目の視力が大きく衰えたことを発表している。源氏物語についての著書が多く、「金を取る宗教は偽もの」を持論とする、天台宗の僧侶でもある寂聴は「寂庵だより」を発行し、最近号は254号になった。

また、倫理性に根ざした自我の確立を主張した夏目漱石の雅号は、愚陀仏(ぐだぶつ)で、正岡子規らと、文学について語らった、松山市の、城山のふもとに現存する下宿先を「愚陀仏庵」と呼んでいた。松山で、漱石は「はじめての ふなや泊まりや しぐれけ里」の句を詠んでいる。

更に、いたずら好きで、ユーモアに富み、ぐうだらで、楽天的なエッセイを書いた遠藤周作の雅号は、狐狸庵(こりあん)であった。「狐狸庵閑話」や「古今百馬鹿」等も、面白い。

雅号ではないが、静岡市の臨済寺には、夢想庵と言う茶室があり、一般に開放されている。余談だが、上端に、(いおり)型と称する三角形の飾りをつけた立看板は、歌舞伎でよく用いられる。

今日から六月。六月の異称は、水無月(みなづき)だから、夢想庵の「無」に関係がある。


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Posted by 無陀仏   at 16:00│Comments(0)日記 エッセイ
 
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