おきな草

大通り公園の西七丁目付近のビル街に　高さ５ｍ程のアナログ表示の時計塔が建っていた。　ビジネス街の真ん中なので必要とは思うが　大通り公園が近い所だから　分秒を刻む時計は　要らないのではと　首をかしげた。　また　悪い癖だ。

子供の　遊びの世界は　本来　夕焼け小焼けで日が暮れて　山のお寺の鐘が鳴る　お手々繋いで皆帰えろ　カラスも一緒に帰りましょう　の世界なのだ。

でも　最近は　お日さまが真上に来たら　お弁当を食べながら水を飲み　自分の影の長さが　身長より長くなったら　おやつを食べ終えて　家に帰らなければならないほど　遊び場が遠くなり　遊ぶ時間が短くなった。

年寄りも同じだ。　日だまりで屈託なく愚痴話を交わす　場所も時間も　ともに少なくなったからだ。　寂しいがこれも時世だ。　

そのうちに　デンデラの世界の住人となる　私達なのだから　今から　おおよそと言う　時間に　慣れておく必要もあるのかな～と思いながら　時計塔を漠然と眺めた。

デンデラとは　聞きなれない言葉だが　同名の小説から　同名の映画が出来たそうだ。　原作も　映画も見ていないので　何とも言えないが　昔の　姥捨山を　題材にした　フィクションものらしい・

知っているのは　岩手県遠野市の土淵と言うあたりの小高い丘を　今でも「でんでら野」と呼んでいることだ。　昔は　６０歳を過ぎた老人が　このでんでら野　の小屋に移されたと聞いている。

でんでら　とは　どうやら　蓮台（れんだい）から由来したのではないかと　言われている。　仏様が　座る蓮の花の台座から由来した　極楽浄土のでんでら野に移すのだから　早く　楽に　成仏してくれと言う　捨てる子供たちの願いがこもった　言葉なのかもしれない。

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